初めて小説を自分で買って読みました。そして初めて最後まで内容を覚えたまま読み終えた。 読んだ後はムズムズすることが増えた。
主人公(古倉)は大学生からコンビニでアルバイトを始め18年続けている女性の話。
この女性はコンビニで働くこと、コンビニのシフトから逆算して全ての生活基準を合わせている。 コンビニのマニュアルに忠実に生活をしている。私生活も全てコンビニアルバイトに捧げている。 僕の中でのコンビニのバイトはバイトでしかない、時給をもらって自分を押し殺して働く。 しかし古倉は自分で合理的だと思っていて必要最小限の行動をする、欲が少なく野心が無いと感じた。自分ではなんとでもないと思っているが、周りから不思議がられる「無に近い人間」だと感じた。自分の世界がコンビニ内で完結している。周りからは38歳で「結婚しないの?」「仕事は頑張ってるのか...コンビニのバイト?」世間の感覚で指摘されている。この感覚は僕の中でもあって、仕事をするならより大きいこと、注目されたり、お金が稼げて贅沢した暮らしができるようになりたいとか、結婚して子供産んで一緒に遊んでとか、それぞれの人たちに野心があると思っていた。自分自身が主人公であり、主役であろうとする。しかし古倉はそれがない。コンビニでバイトをすることで満足している。
この本を読んで、就活が始まり出している僕だが、やっぱりいい企業に勤めたい、周りから憧れるような大きな規模で仕事がしたい、たくさんお金を稼ぎたい。けどこれは世間の意見に流されてしまっているのかもしれないと思った。僕自身芸人に憧れたりプロサッカー選手を目指していたこともあったが、「狭き門だから」とか「普通じゃないから」言われ結局諦めていた。「普通」とか「常識」とかが気持ち悪いものに思えてきた。けれど人と関わって生きていく以上、関わる人との、普通とか常識とかを感じ取って協調しながら生活していかなければ周りから不思議がれてしまうこともよくわかった。人生にマニュアルなんてないと思っていたが、マニュアル的な物がうっすら存在しているとも思った。
「モテたい」とか「褒められたい」とか「誰かに勝ちたい」とか他人ありきで何かと比べることでしか満たされないとさらに感じた。今の僕の中に自己満足で完結できることがないと思ってしまった。